第9回八天堂だより
私が八天堂に入社したのは、今から約10年前の事です。以前もパン製造の職に就いていましたが、自分が思っていた以上に辛く厳しい現場で、朝早くから夜遅くまで粉に埋もれる毎日でした。
それが嫌になり、一度パン製造とは全く関係のない職にも就きましたが、結果はどれも同じで長続きしませんでした。自分には何が出来るのだろうかと悩み苦しみ就職活動をするなかで、私の目に留まるのは常にパン屋さんの求人だったのです。
そんな時、八天堂の店主森光との出会いを経て彼の情熱と前向きな考え方に共感致しました。同時に、離れてみて改めて感じた大好きなパン製造に携わるチャンスを頂き、またパンが作れるという喜びと感謝の気持ちでいっぱいになりました。私の一生の仕事にしようと深く決意した瞬間でもあります。
この10年間は必死に駆け抜けてきましたが、本当にいろいろなことがありました。長引く不況でパン業界も、売上の低迷、原材料の高騰、後継者不足など様々な問題を抱え、夢だけでは続けていけないのも事実です。
我が八天堂も一昨年、数十種類のパンを作っているのを辞め、くりーむパン1種類に想いを集約いたしました。「パン屋さんなのに1種類しかないの?」と周囲の方々の反対意見も多数ありましたが、私たちにしか出来ない本当においしい物をたくさんのお客様に食べて頂きたい。ただこの一念のみで生まれた集大成は店主森光の大決断の証でもありました。
この強い想いが無ければ、くりーむパンというお品は生まれなかったのだろうと思います。この軌跡にはじめから携わらせていただいていることは貴重な経験であり、また少なからずその一端を担えていることは大変誇りに思います。そしてその全てを見てきた私が本当に自信をもってお客様にお勧めできることが、パンの製造が大好きな私にとってたまらなく嬉しいのです。
さて、先般八天堂だよりでもお届けしましたとおり、この4月から希望に満ち溢れた新しいスタッフが入社してきております。この仲間達と日々よりよいお品を求め、多くのことを学ばせていただき、毎日が真剣勝負で大変充実しております。
最後に、一つ一つのパンに心を込めてつくらなければお客様に我々の想いをお伝えすることは出来ないだろうと思います。これからも手作り手包みにこだわり一つ一つに心を込めて作っていきたい、作り続けていきたいと思っております。お客様の笑顔と共に。
2010.7.01



